漢方の基礎

漢方とは

漢方とは、7世紀頃に、中国から日本に伝わった中医学を日本の風土に合わせて調整したものです。

その中医学は、数千年の歴史に裏付けられた理論と臨床経験を元に整理した中国の伝統医学を言います。

また漢方(中医学)と西洋医学との違いは、

〇 西洋医学は、対症療法が主体

◎ 漢方/中医学は、バランス医学(人体、周辺環境等のバランスを考える)
◎ 漢方/中医学は、オーダーメイド(体質、病気の発病プロセス等に合わせる)
◎ 漢方/中医学は、予防医学(病気を未然に防ぐ、病気に罹り難い体質改善)
◎ 漢方/中医学は、(薬食同源)と運動を重視する

気(き)・血(けつ)・水(すい)

漢方/中医学では、からだ全体の働きと深いかかわりを持つ基本的な物質として、気(き)血(けつ)水(すい)を位置づけています。

:体のエネルギーや新陳代謝を指します
:血液だけではなく、体の栄養が含まれます
:潤いを指します。

人間のからだは、五臓(ごぞう)を中心に、血脈や経路などのネットワークを通して、一つのバランス状態を形成して、「健康」が維持されます。

このバランスが崩れると、体調不良や病気につながっていきます。

五臓(ごぞう)

1. 肝(かん):運動・自律神経系
● 血液を貯え、全身の正常な代謝を維持し、気・血の巡りをスムーズにする働きがあり、精神・情緒の安定、運動や自律神経の働きもコントロールします

2. 心(しん):血液循環系
● ポンプの作用で、血液を全身に循環させます。また精神・思考・意識活動をしていると考えられています

3. 脾(ひ):消化器系
● 食べ物を消化・吸収して全身に栄養を巡らせます。吸収した栄養分と水分は、気・血・水のもととなり、内出血や生理過多などを起こさないようにします

4. 肺(はい):呼吸器系
● 呼吸を行い、その呼吸によってすべての気が生み出されます。気の働きによって、体内の新陳代謝や水の流れを調整します

5. 腎(じん):内分泌系・泌尿生殖器系
● 生命エネルギーの源であり、水の代謝を調整します。また、骨組織、骨髄、中枢神経に働き、成長、発育、知能、老化、免疫の各機能を持ちます

四つの虚(きょ)

虚(きょ)とは、ある性質や機能が低下していたり、不足していたりする状態を表します

気虚(ききょ):疲れやすく、疲れると不調の症状が出やすい
陽虚(ようきょ):手足の冷えなど、からだを温める機能が低下している
血虚(けっきょ):血液不足で、めまい、立ちくらみなどを伴う
陰虚(いんきょ):からだの水分が不足がちで、口渇などがあらわれる

これらは、からだの内的要因(体質)からくる不調の原因となり、複数の要素を持つことがあります(例. 気血両虚、気と血の両方による機能低下)